【ここ】みちのくひとりたび【1週間其の一】

1週間で色々ありまして書く気力が削がれてたのと、書くことが多すぎて…。たぶん長くなります。まあ今回は三部構成の第一部ってことで。
でもキーボードの調子が悪くて打ちにくいなぁ、買い替えかなぁ。

実家に2日ほど帰ってきました。
妹と「葬式ぐらいでしか会ってないからたまには家族水入らずで会おうよ。ウチの旦那とも会った事無いし。」と言ったので期日合わせて帰省。おかげで岡村ちゃん復活にはイケナイコトに。

深夜バスに時間あるので、浅草の名画座で「新座頭市・破れ唐人剣」と「緋牡丹博徒・命頂きます」を観賞。
盲人勝新VS片腕ジミーのアジア二大スターのフリークス対決。当に裏ミラクルカンフー!映画も殺陣も素晴らしいが、勝新が可愛くて困る。女だったら絶対ほっとけないな、と確信する素晴らしすぎる魅力。ジミーさんはカッコ良くて清廉潔白な美青年だけど、カッコ良いけど、殺陣が(以下略)。ま、ジミーさんだしね(笑)
緋牡丹博徒は、富司純子の美しさに参った。全てを包む優しさと不義理を許さぬ峻烈さと天涯孤独の一博徒の悲しさと、全てが同居した見た目だけではない人間としての美しさ、そして強さ。これも打ち抜かれてしまいました。
また、浅草のお客さんがいい。笑い、泣き、昔の映画館にあった日常と非日常の境目、けして「アミューズメント」ではない映画館の空気とそれを楽しむ空気につい懐かしさと嬉しさと悲しさが。

東京駅に行く途中、プレーヤーに入っていたガガガSPの「国道二号線」が何故か心に刺さりまくってしょうがない。
つい6,7回リピートして聴いてしまう。
「ああ、この何年か積み上げてきた失恋のトラウマが抜けてないのかなぁ」などと思っていたが、実は違ったことが後に判明。
答えは後に。

帰るなり親父とはフランクに行こうとしてるのにピリピリした空気がビリビリと。一言一言にも気を使う。逃げ出すように夜はいつもの山形の溜まり場「Lapis」に。後輩の晋ちゃんや前回ここで会った地獄車ファンの佐藤くん、マスターの奥さんと鍋会。地獄のサインもらったこと、ホント、感謝してて北海道の同じ地獄ファンにまで電話してました。そこでバカ話したり、ZのDVD見たりしてたら時間も遅く。フリーのボク以外は帰ってマスターと二人きり。
これからの生活に多大なエールを送ってもらって嬉しい限り。「役者もやったほうがいいよ!向いてるよ!」とは言われるんだけどどうなんだろう?家族とか人生とか映画とか話してるうちにもう夜も白み始め。
外は大雪。

暖冬でこれまで積もることもなかったのにそんな勢い。なんだ、俺が帰省するのがそんなアレってか?伊豆大島まで雪振りやがって(笑)
3kmぐらいの道程だから歩こうとは思ったけど沖縄からほぼ変わり無い装備では無理。流石にタクシーで。

親父との空気をなんとかしたいので、早く妹夫婦を待っていながら布団にくるまっていたら、廊下を爪が引っかく音が聞こえたので、
「あ、フェレットだな。妹来たな。」
と起き出す。
妹はフェレット6匹も飼ってやがるので移動は一緒。

そこで初めて妹の旦那と会う。
挨拶もあっさりと。
前から「無口で朴訥でスポーツマンで学究対象にしか興味ないから兄貴と合うかどうか」と言われて、見せられた写真はどこか辰吉似。
かなりビビりながら会うと、ビルドアップしたつぶやきシロー(失礼)な感じで穏やかな感じ。歳一つ下なのに。これまでのボクの友人でこのぐらいの歳でこんな落ち着いた風貌はいないぞ!
さすが、義肢の技師で講師までやってることはあります。

とか、会ったも早々5分後。
男と男の激しい息遣いが…。
いや、そういうわけではなく、向こうもラガーメンなんで、
「いかにバック取って人を地面に這わせるかやってみましょう」
と勝負に。
ごめん、素人か素人紛いに通じたレスリング殺法通じず。ブン投げられました。
今度はボクの番。
後からクラッチしながら、重心コントロールして逃がさず!かに見えましたが、肩からクラッチ切られて逃げられました。
悔しい、悔しすぎる。

まあ、でも初対面が肉体言語。
男の子(じゃねぇよ二人とも)としては理想的でしょう。

ちなみに妹は兄貴に似ず、中学生にも間違えられるロリ顔萌え系、しかも身長145cm。今回「人妻」という称号まで加わってしまったので、エロゲー三冠王かの如くの風格だ。
でも、俺にヤオイ教えたのコイツなんだよなぁ(笑)

その後、親父の独断で呼ばれて、昼飯に隣町のそば屋連れて行かれて近くの温泉に行くことに。
途中、市内通りながら「この新聞社の社長が『山形の天皇』って言われててユニコーンの『服部』のモデルなんだよ」と説明。同世代だけあって非常に食いついてきた。どうだ、お兄さん、非力でバカだけど無駄な知識だけは多いんだ(苦笑)

メシ食って温泉入ったら、妹が来たのか空気が張り詰めた北国の理想的な晴天。
遠くの冠雪がいつもより綺麗に見える。

つい良く見える場所を探して彷徨ってしまう。
「どこにいる!」との親父の怒りの電話もどうでもいいぐらい。
こんなどこか切なくて、でも美しい風景が見たかった。それだけに突き動かされていた。

帰って、また妹夫婦と会話。
「アライメント」「副側靭帯」などの専門的用語が次々と口から出てくるうえ、様々なトレーニング方法でついつい会話に熱が入る。
妹曰く、女の口説き文句が、
「キミも脚を今すぐ伸ばしてあげるよ。ただし30cm以上限定。脛のみ。」
というので、面白すぎる!と思う。ジャック・ハンマーもビックリだ!使いたいが、技術が無いので使えない(笑)
そんな話をしてたら、今回の北海道行き(北海道工業大学の講師になるため、助手兼院生となるため北海道に転居)にあたり、前の職場の恩師がくれたというカップを見せてもらう。

腰椎と骨盤が持つところになっているのだが、どう見ても「エイリアン」で腹から幼虫が飛び出してくるあのトラウマシーンにしか見えない(笑)
やっぱ贈り物っていったらこういうんじゃなきゃね!(笑)

夜はウチら兄妹で「重すぎる」と言っていた会食で焼肉。
久しぶりに叔母と従兄弟にも会う。親父はご機嫌。

しかし開始早々、ストナプ太郎さんからメールが。

鴨ちゃんが…死んだ。腎臓ガンで…。かなり動揺してる」


正直、ショックでどうにかなりそうだった。
西原理恵子の元旦那にしてダメ人間人生をそのピュアさとダメさ加減の面白さで生きて、生き延びてきて、その朴訥な文章と行動で笑わせてくれて、ボクのようなダメ人間には憧れのような、仲間のような、そんな人だったのに…。
昨年のみーつーに続き、天は愛すべきバカをまたも奪っていってしまった。

その後はよく覚えていない。

ただ、バスに乗る前に聴きまくった「国道二号線」がここで繋がった。

空いてもいない中ジョッキを頼んでは弔いとばかりに呷り倒し、妹の旦那さんに人体構造とか福祉の話とかをしまくってたような気がする。
後に気づいて悪いことをしたと思ったが、妹から聞いたら「彼も面白がってたよ」と言ってもらえたのが救いだ。

親父たちは酔っ払って帰るというので、妹夫婦とボクとでカラオケ屋へ。
さらに中ジョッキを飲み倒し、歌う。
妹がアニソン使いなので兄さんも頑張るが、夫婦でラルクイエモンタッグを食らうとかなわない。
あ、でも「服部」は当然歌った。
で、ついつい入れてしまった鴨ちゃんのために歌わなきゃと思った「国道二号線」。

人と人とが分かり合うなんて、ありえないと思ってた僕を
120°ぐらい変えてしまった君は、僕の心の本当に偉人でした

あぁ 君よ幸せになれ やっと僕は素直に思えた
国道二号線を見て やっと僕は素直になれた
でも やっぱり次の彼女ができるまで君が好きだろう多分

国道二号線の 風景はあの頃と同じで
僕は久々にここに来たら なんかホッとしてしまった
君よ幸せに 二号線の道のりのように長い人生を

人間は 思い出に 別れを 告げることは
無いと ぼくは 思うわけで
そのなかで ぼくは 自分がしてきたことや
やってきたことを 常に笑って
いけるような そんな人生を ぼくは 
一生過ごしていきたいのです

ハマッてしまった。
歌いながら号泣してしまった。
彼は本当に幸せになれたんだろうか。彼女の悲しみはいかばかりか。


その後は、普通にカラオケ。
妹と「ふたりはプリキュア」をOP・ED共に完璧にユニゾンして、
「兄妹攻撃ツープラトンだ」
と引かれたりして(笑)。

そんなこんなで朝まで歌って帰った。楽しかった。


でもボクはこの後、なんとか我慢していた親父への気遣いの疲れと鴨ちゃんショックで完全な鬱状態へと陥ってしまうのだった。