Another One Bites The Dust

さて、「スケバン刑事〜コードネーム=麻宮サキ」にすっかり気をよくしたボクは、ノリノリで「永遠の法〜The Lows of Eternity」に向かうことになるのだが、そこに待っていたのは衝撃の事実の数々!
答えは15秒後。


■永遠の法〜The Lows of Eternity


さて、まずご存知ない方に説明しようと思うのだが、この「永遠の法」、これは、宗教団体・幸福の科学が、CG映画「ノストラダムス戦慄の啓示」を皮切りに継続的に作っている映画である。
2作目「ヘルメス〜愛は風の如く」からアニメに切り替わり、その後、「太陽の法」「黄金の法」と作られ、今回の「永遠の法」に至る。
潤沢な資金を活用した、東映映画館封切り買取、豊富な制作費、という東映にとっては全く懐の痛まないシステムにより繰り広げられるのは、ジブリ映画並みのアニメーションとジブリ以上の説教臭さを含有したステキな世界。
「ヘルメス〜」を観て以来、ボクはそのスンバラしさに感銘し、以降、「エル・カンターレウォッチャー」として活動を続けている。
ちなみにエル・カンターレとは数々の聖人の転生存在かつ釈迦如来にしてイコール、大川隆法主宰である。決してルチャレスラーではないことを付記しておく。


さあ、回を重ねるごとに臆面もなくなってくるこのシリーズ。今回はどんなめくるめく体験をさせてくれるのだろうか。


今回のテーマは「科学」らしい。


始まりは近未来。エジソンミュージアムから始まる。
そこに訪れた科学を学ぶ高校生・隆太を含む学生たちは、展示品に感動する。
アレ?科学に感動ってマトモだなぁ、などと思っていたら、展示の片隅にあったエジソンの「霊界通信機」に隆太は禿しく興味を掻き立てられる。
開始3分にして「こう来たか!」とズッコケる間もなく、突然すれ違ったネイティブアメリカンのシャーマンに導かれ、エジソンの霊体とコンタクト、いきなり「霊界通信機」を作ろう!という話に。科学は何処に!?


先生たちに協力を仰ぐも当然怒られた隆太とその仲間は、自分らで作るハメになる。それぞれ駆動装置やらの専門家やらはいるのだが、出来上がった代物は原理不明の装置。
そこにヒロイン・夕子が通りかかり、宗教系の学部に通ってるという理由だけで何故か計画に参加。
完成した装置を起動させるも当然動かず。と、思っていたら、傍らにいる夕子が手を合わせると…装置起動開始!
光溢れる中から流れてきたのは…
「メーリさんのひつじ〜♪ひつじ〜♪ひつじ〜♪」!
「これは!エジソンが蓄音機に吹き込んだ歌じゃないか!」という隆太たちのピュアな驚きもよそに、
「ワタシハ、エジソンデース」
というエジソンからのアピール。
「霊界が大変デース。来てくだサーイ。」
というエジソンからのラブコールに戸惑う一行。
夕子の「私、学校で瞑想習ってるから(?)、みんな瞑想して!」の呼びかけに瞑想すると、いきなり全員幽体離脱


霊界へと渡った一行は「四次元霊界」にたどり着きます。
そこは下界と全く同じ世界!
そこに待っていたのはトーテムポールよろしくな風体のゴッド・イーグルなる男。彼の案内で霊界ツアーを送ることになる当に「大霊界・死んでもないけど驚いた!」。
彼の説明によると、この四次元霊界では死を悟ることになるという。あれ?四次元って「三次元+時間」だったと思うんだけど科学は何処に!?


連れて行かれて見せられたのは、死んだ人間がこれまで送ってきた一生を霊界の親族に見てもらい、「○×」で多数決。×が多けりゃ地獄逝きというキビシいシステム。「生きてるときにやるだけやらにゃ」「霊界なんて無ぇ」という人間は即地獄。怖いですね〜、恐ろしいですね〜。


続いて五次元にレベルアップ!(五次元という言葉は単語一発変換してくれません)
そこでは、霊体たちが、様々なテクノロジーを駆使して新たな技術を生み出す世界。彼らはここで技術を生み出し下界に転生してその技術で人間界を救うという。
隆太の仲間たちの前世もここで修行したという驚愕の事実が発覚!
生まれる前にもうその人の価値決まっちゃってるんですか?という失礼なギモンは無視して、その姿勢の素晴らしさに感動しつつ次の次元にレベルアップ!


六次元に移ると、怪しげな機械を研究する一団に遭遇!
そこでせっせこ作業に励む爺ちゃん達。
隆太たち驚愕!
「あ、あなたは!松下幸之助さん!そして!豊田佐吉さん!」
言及された他にボクは後にいる本田宗一郎も確認しましたよ!言及されないのはやっぱり「神」とされている他の社風と合わないからでしょうか?それにしても遺族の方々も驚愕の事実!
ここでついにエジソン登場。
彼の口から彼らはここでここの上にある七次元に存在するエジソンの指導を受けながら研究を続けているとのこと。
いやぁ、本田のオヤジはともかく、松下幸之助豊田佐吉も技術者としては疑問符がつくし、エジソン自体も後年は他人の特許を買い捲ったと記憶してるんだけどなぁ。


驚愕の事実が次々と明かされるこの霊界ツアー。もういい加減ゲッソリ気味なのですが、まだまだ続きます。
ついに七次元。
ここからちょっと趣が変わり、門の前に一行は立たされ案内人ゴッド・イーグルに試練を課されます。
「ここからは普通の人間は行けねぇ。試させてもらう。」
課されたのは病人たちの世話。一行それぞれ献身的に世話し、門をくぐるも、隆太と夕子以外は元に逆戻り。
ふてくされるその他に、「お前らのは偽善」とにべもなく言い渡され、さらにふてくされるその他は、いきなり地獄にまっ逆さま!


そんなことも露知らず、レベルアップ!な隆太と夕子は、そこでそれぞれの世界に。
隆太はエジソンとタイマン。
霊界通信機は「うむ、あれは若き科学者に残しておいた『コロンブスの卵』のようなものだよ。霊界という『新大陸』の発見。」と言われ、「例えば、この霊界を通る移動方法、つまり異次元航行のシステムを開発すれば、宇宙空間をも自由に飛びまわることが出来る。異星人との交流や貿易も可能だ。エネルギー問題にしても霊的なエネルギーの研究によってクリーンで安全なエネルギーなど無尽蔵に得られるのだよ。」
という香ばしい発言を聞かされ何故か妙に得心!
夕子は夕子で、現れた女性に「私、ナイチンゲール。」続いて「私、ヘレン・ケラー。こんなお喋りなヘレン・ケラーって変でしょ、ウフフ。」と反応に困る発言をされつつも感動の極み。さらにはマザー・テレサも現れて判り易過ぎる「感動をありがとう」の見本市状態!
そこで天使たちが下界の人間に「ガンバレ!ニッポン!」状態の実態を見せられさらに感動。
ああ、これって島本和彦が「ワンダービット」に描いたアレだよなぁ、と疲れた脳味噌を仕方なく回避させていると、隆太たちに「アンタらのツレ、地獄に堕ちたよ!」との通報が。


ゴッド・イーグルと共に地獄に向かうと、そこは阿鼻叫喚、といいつつも中川信夫の「地獄」よりはかなりスケールダウンの地獄絵図が繰り広げられています。
隆太のツレどもをさらったのは、元は天使だったが、堕落して地獄に堕ちた野郎ども。
そこで「彼らは地獄から人間界にエージェントを送り込んでいる」という衝撃の事実がゴッド・イーグルから暴露される。
彼らの悪魔の活動とは、
脳科学者が言う「全ては脳で説明できます」
物理学者の言う「霊なんて存在しませんよ」
TVコメンテーターが言う「宗教を信じる自由もありますが信じない自由もあります」
そう、彼らは悪魔だったのです!知らなかった!


そこにおもむろに登場するどうみてもナチスな軍団。
それを率いるのは…「ヒスラー」!
彼らはいきなり「妖星ゴラス」のトド怪獣「マグマ」を彷彿とさせる怪獣を同映画と同じぐらい突然と召喚!
宣伝で謳われた「ハリウッドVFX」がここに実現です!


襲われる一行。
その中、果敢に立ち向かう隆太。
劣勢に立たされる隆太を助ける夕子。
その姿はギリシャ時代の英雄に生き写し、というか、そう、なります!


怪獣をは倒したが、地獄の亡者どもが天界に上り始め、天国大ピンチ!しかし、天から降りた天界の杖を受けた隆太はこれを一蹴!
当に佳境!というこの場面で、いきなりテノールともいえないヘッポコな歌声で、なんとも、「気の抜けた」としか言いようが無い曲が流れる!
明らかに「もののけ姫」のパクリ(と後に判明)。
しかもこの曲、作詞がゴータマ・シッダルダ=お釈迦様!(を大川主宰が代筆)
こんなところでお釈迦様作詞の歌が聴けるとは!死んだはずのお富さんもビックリ!


このままさらに高次元へと昇る隆太と夕子、八次元で出会ったのは、平成ゴジラの武田鉄也も文句つけるほどのデカイ面したアインシュタイン
この人、相対性理論疑似科学の人たちがすがってるエーテルとか否定しちゃったはずなんだけどなぁ〜。なんでかなぁ〜。


さらに高次元、ついには最高界九次元へ!
そこは当に神の領域!
いるわ、いるわ!キリスト、マホメット孔子、お釈迦様
ヘルメス
へ?
アトランティスのトス
へ??
ムー大陸のラ・ムー
へ???
とにもかくにも、ユニコーンの「リンジューマーチ」もかくやの大騒ぎなわけです!


そこで知らされるのは、隆太と夕子がこれらの生まれ代わり、そして前世から数十万年を超えて愛し合う関係なのだということを!愛は心の仕事DEATH!


そうして人間界へと戻った一行。
使命に気づいた隆太と夕子は科学と霊界の融合で人々を救い、そして互いに愛し合うことを誓うのです。


他の仲間に植え付けられた劣等感を他所に。


そしてエンディングに流れる、またもや気の抜けた曲は、作詞:トス@アトランティスでございます。



どうですか!このめくるめく霊界ツアー!
ボクは丹波哲郎にトドメを刺したのはこの映画だと確信しています。


前半爆笑、後半疲労困憊。
上映終了後、後のほうでにこやかに観客が「あら〜○○さ〜ん」などと言い合っててまん前で見てて良かったと思ったYO!


まあ、毎回こんな感じなんですけど、回を経るごとにどんどん「俺、最高!信じないヤツ、地獄逝き!」が臆面もなく展開されていってるんですよね。毎回世間への迎合をカタチを変えて交えつつ。


隆太=エル・カンターレ=前述の聖人たち=大川隆法主宰は明らかなワケでして、まあそれはいいんですけど、アニメの主人公たちを必要以上に美化するのはどうかと思うわけでして。
しかもエル・カンターレの転生の声優フィックスは美男とはこの人、子安武人!主宰、気に入っちゃったのねぇ。
ちなみに大川夫人は弥勒菩薩の生まれ変わりで、ナイチンゲールに転生して現在に至ってるそうです、という当にトリビア


これに従えば、確実にボクなんかあの世は地獄逝きだし、前世もロクなもんじゃなかったはずだし、これからも未来永劫そんな気がします。


貴方は如何でしょう?


でもボク、このシリーズ評価してるんですよ。アニメーターの技術を確実に進歩させてくれてる点で。色んな意味で面白すぎるし。
これからも本をガンガン買わせて、日本アニメの向上とひねくれ者の遊興に貢献して頂きたい。