マブ論。Vol.2

<続き>
となると『アイドルソング』『萌えソング』と呼ばれるものには、その『何か』が必要になってくる。
『何か』とは何か。
そこでプロレスとの相関性に立ち返る。『何か』とは「反則」ではないだろうか。
プロレスとは規則の厳正が要求されるスポーツの世界の中で、反則がカウント4まで許されるという他に類を見ないスポーツである。しかし、その4秒間が試合に厚みを持たせていることは疑いようもない。
とかく芸術性やら音楽性とやらが強調される音楽というジャンルの中で、アイドルソングや萌えソングもそんな「反則」が許される。
それは、プロレスもアイドルも萌えも「面白い」「楽しい」ことが至上であるジャンルであるからだ。要するに「ウケたら勝ち」なのである。
そしてその「反則」こそ、このつまらない終わり無き『日常』から遊離する一瞬なのだとボクは思う。ボクらが生きるこの『日常』における「反則」もまた、許されないものだから。
アイドルソングや萌えソングの中にちりばめられた「反則」はボクの中に大きな『何か』を与えてくれる。そのたびに大きな敗北感を感じながらも、そこから始まるファンタジーに『日常』から離れていく高揚感を覚える。
そしてボクも叫ぶのだ。
「萌え〜!」と。